コマミー

Fair Play/フェアプレーのコマミーのレビュー・感想・評価

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)
3.9
【差が開いていく…】




私が言えた義理はないと思うが、"職場内恋愛"は上手くいく確立が低いと思う。
特にIT関係やセールスなど、"競争が激しい職場"で同じ立場の人同士が恋に落ち、結婚したとして、先に見える恐怖というのは何なのだろうか?

それは"格差"だ。

どちらか"片方が昇進"したりした時、生まれるかどうか分からないが片方の格が上がればもう片方は置いてかれる気がして"嫉妬心"が生まれる。学校の授業とかでも経験した人は多いであろう?この嫉妬心が"暴走"すれば、その先に待ち受けるものは何だろうか?

人は「フェア」を望む生き物である。それが崩れれば、お互いの心にもフェアが生まれる事はない。

本作はそんな職場内恋愛で生まれたカップルが、片方の昇進を期に、エゴなどでその恋が壊れていく様を描いたスリラーである。
とにかく物語云々を語るのもそうだが、主演の"フィービー・ディネバー"や"オールデン・エアエンライク"、そして2人の上司を演じた"エディ・マーサン"の怪演がとても光っていた作品だった。
特にオールデン演じる"ルーク"がフィービー演じる"エミリー"の昇進を境に"変わっていく姿"がとても怖かった。人間の限界を感じる素晴らしい演技であった。エミリーが終盤でエディー演じる上司にルークとの事なりの真相を話すシーンもとても辛いし、ルーククズだし、夜中にエミリーを呼んで誰をクビにするかを話す上司もとてつもなく怖かった。

職場内恋愛のリスクもそうだが、職場内の競争が激しい"企業の闇"も痛いほど知る事ができた作品だった。散々尽くしてきた人間がこうも"簡単に切り捨てられてく"。見た目は平静を装っているが、内心この社員達は恐れているのだろうなと感じた。私には、全員狂人に見えてしまった。

主人公のエミリーが置かれている状況に、私は女性が"うまく活躍できない要因"を確認する事ができた。それが一番分かるのが、ルークの嫉妬やエミリーとの恋愛の経緯からだ。
本作には"男性優位社会の恐怖"も同時に描いていた。

もういろんな意味でずーと画面に釘付けな作品だった。
それは結構恐怖がほとんどだったと思う。怒りも半分。劇中を流れる音楽も、徐々に不安を誘う。これは見応えのあるスリラーであった。

Netflixでは10月13日に配信開始。

劇場で見逃した方は、是非本配信にて本作をお楽しみ下さい。
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