KUBO

ボブ・マーリー:ONE LOVEのKUBOのレビュー・感想・評価

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
4.0
正直、ボブ・マーリーのこと、全然知らずに(なんとなく聴いたことはある程度で)見たんだけど、すごい感動した。

レゲエって、80年代にすごい流行って、当時渋谷のタワーレコードなんか、入口入ってすぐのところにレゲエコーナーがドーンとあったのを覚えている。ロックばかり聴いてた我々にレゲエのノリは新鮮に感じられたんだろうな。

かくいう私は、ボブ・マーリーの『レジェンド』とレゲエヒットのコンピを買ったくらいで、レゲエに関してはにわかでした。

いきなりの暴動荒れ狂うジャマイカに「これミュージシャンの映画だよね」と思うけど、ボブ・マーリーの生まれ育ったジャマイカでは70年代当時は国が2つに分断されていたのね。

映画はそんな2つに分かれたジャマイカをひとつにしようとコンサートを企画するところから始まる。

そんなボブ・マーリーの歌は「ラスタ」思想に基づいている。でも「ラスタ」って何だ?

まずレゲエファッションの中で「ラスタカラー」とか言うけど「ラスタ」の意味を知らなかった。作品内でボブ・マーリーや仲間たちが自分たちを指して言う「ラスタ」「ラスタフェリ」って言うのは、

「1930年に第111代目のエチオピア皇帝の座に即位したハイレ・セラシエ(この名前も何度も出てくる)を崇め、アフリカ回帰を願うジャマイカ特有の思想」なのだそう。

あと、これもなにかと言うとボブ・マーリーが繰り返す「ジャー」って言うのは、なんとあの「ヤハウェ」のこと! キリスト教・イスラム教・ユダヤ教に共通する世界を創生した唯一神だ。

と言うことで、ボブ・マーリーの歌と平和主義は、この「ラスタ」思想から来ている。

平和を呼びかけようと企画したコンサートの直前に銃撃されながら、その3日後にはステージに上がっていたボブ・マーリーは、その後ロンドンに渡り、名盤『エクソダス』を発表する。

成功を収め、有名になれば「金」が仲間を誘惑したりもするし、離れて暮らす奥さんとの間にすれ違いを生むこともある。ミュージシャンの伝記ではあるあるかな?

そして人気の絶頂で、ボブ・マーリーは癌を宣告され、長く離れたままだった生まれ故郷のジャマイカに帰る。そこで開いた「ワン・ラブ・ピース・コンサート」で、ボブはある偉業を成し遂げる。

全編に流れるボブ・マーリーの名曲の数々。音楽だけでもすごいクールだけど、歌詞の意味を字幕で追いながら聴くと、それぞれの詩の深いテーマがボブのその時その時の人生に重なっていって、理解の仕方が変わる。

また、そのグルーヴを作ってる作品内のウェイラーズのメンバーが、実際のオリジナルメンバーの息子たちだ、ということにびっくり!

もちろん音楽映画として最高にクールなんだけど、それ以上にこの映画を通してボブ・マーリーの精神性を学んだ。

全音楽ファンにオススメ!
KUBO

KUBO