おりょうSNK

ファンファーレのおりょうSNKのネタバレレビュー・内容・結末

ファンファーレ(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「ファンファーレ」
2023年 日本 85分
@出町座 平日18:50〜 観客3人

UPLINK京都での上映が1週間のみ、しかも1日1回で16時台といういちばん見にくい時間だったため見逃した。
出町座でのセカンド上映も1週間のみ、1日1回上映…だが、この作品は、縁がなかったなと諦めるわけにいかず、電車乗り間違えて、降り損ねて、ICカードの充電が足りず、いや充電やなくチャージやろ、ごらん雪が降ってきたよ…雪がきれいと笑うのは君がいい、だからこんなにしてまで見に来たんだよと出町座にギリギリ到着。きっと僕に合う映画だと、昨年晩秋に関東で上映中に確信していたのだ。「君は永遠にそいつらより若い」の吉野竜平監督だ。

いつか辞めなきゃならない
不本意だけど辞めなきゃならない時がある
寿命は延びてきたがまだまだ悪魔性ある日本のアイドルというシステム

今日を諦めなかった僕が観たのは、自ら諦めた人たちの物語だった。

セカンドキャリアが題材だけど、業界についてはほとんど描いていない。奇しくも今日実写化が発表された「推しの子」とは一線を画した作品だ。
なにしろ最初から最後までファンの姿を映さない。表情も分からないほどの引きの多さ。劇伴はまったくなく、まるでドキュメンタリーフィルムを見てるよう。

抑制の効いた演出がいい。
脚本が支配しているいい映画だ。
誰も声を荒げたりしない演技がいい。

淡々とした展開なのに、最後にはこのアイドルを10年間応援してきたかのように感じさせる巧みさに唸る。ラストの潔さも大好きだ。

アイドルに留まらず、辞められない、辞めたけど戻りたい、謎の無敵感で飛び出したけど叩きのめされている人たちへの、静かな静かな応援歌。

縦文字エンドロールも印象的。
あと、脇役で無双を続けている俺たちの中島歩が中島歩だった。
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