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アントニオ猪木をさがしてのPolaroidのレビュー・感想・評価

アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)
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基本は猪木の人生をいくつかの映像とともに振り返りながら関係者やファンの話を聞いていくドキュメンタリーだが、三回ほどちょっとしたドラマパートが差し込まれる。これがもう大変にわざとらしく、猪木のポエム「馬鹿になれ」の全文暗唱と有名な「出る前に負けること考える馬鹿いるかよ!」の引用が出てきて(ビンタはないけど)苦境にある人物を救うというベタベタの内容なのだが、不思議と嫌にならないのはやはり猪木だからなのか。とにかくすごいスターで破格の人物だったんだなあと改めて思った。

映画には出てこないものの大好きなエピソードがある。かつて読んだ『アントニオ猪木自伝』の中で猪木は自らにかけられた拳銃密輸疑惑を否定し、潔白の理由として「私は素手で人が殺せる」、だから拳銃なんて不要だから密輸していないと述べていた。そういう話じゃないだろ!とツッコミを入れたくなるが、映画を見終わった今となっては、他者の眼に映る自分の強さとそのイメージにこだわり続けていた人による、これ以上ない弁明だという気がしている。動く猪木、語る猪木を大きなスクリーンで見られてよかった。
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