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ほかげの中のレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.0
戦後を迎えるにはトラウマを処理せなあかん。
名前を語られない孤独な彼ら彼女らが、失ったものを求めて彷徨う時代。現実に向き合うってことは諦める心を持つってことで、戦後の凄惨な状況でそのバランスを取ることは不可能にも思える。命が軽い。
俳優陣の演技が過剰気味に感じられるけど、あんまり違和感がないのは、俺にとって戦争がファンタジーにも似たフィクションでしかないからなんかな。誰もに幸せに生きてほしいと思いながら観てるけど、やっぱり傲慢な第三者的感想でしかない。
情緒不安定で泣いてばかりの日々を送るしかない人生が俺にもあるかもしれへん。夫の仏壇を隣部屋に置いて売春する妻、復讐にしか生を見出せない元軍人。正義は人の数だけあるっていうけど、この時代はそれぞれの正義がばらばらで色濃かった。
善悪の境界線がゆるんでいく。
趣里の舌打ちとヒステリーがかなり印象深く残った。
闇市。
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