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ほかげのNeNeのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
5.0
戦争は喪失しか生まない。
ド直球の反戦映画。
こんな作品を作れるの、塚本晋也の他にいない。

あるひと言で急にその人の全部が信じられなくなる人間の心理、ってなんなんでしょうね。それをうまく使ってたシーンがホラーかと思うくらいゾッとする描写だった。

兵隊さんのPTSDの描写も、わたしは映画ではじめて観たと思う。こんなにキツいんだ。
先日観たノマドランドでも元兵士のPTSDについてちょろっと話題があったのを思い出した。

んでセリフの言い回しが独特で、塚本晋也監督の作品観てるなぁって気持ちになる。役者さんの目、息遣い、汗の捉え方も監督ならではの感覚。ゾクゾクする。

先にド直球と書いたけれども、必要なことの説明はほとんどない。それでも観れば察しはつく。作り手が観る人を信頼して作ってんだろうな。めちゃ良い。

でもこれから何年か先、戦争の記憶がほとんど薄れてしまった時、なんのことかひとつもわからない人が出てくるんじゃないかと思ったりした。
それは平和が続いた証と同時に、この作品のような状況へとコロリと転んでしまう危うさでもあるんだよなぁ。

坊や役の子がそれはもう本当に素晴らしかった。
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