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ナポレオンのGingaのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.0
リドリー・スコットの考えるナポレオンとは。

日本人の知るナポレオン、アメリカ人の知るナポレオン、フランス人の知るナポレオン。三者三様のナポレオンがあり真のナポレオンを知るものはいない。
印象的だったのはアメリカ人らしいフランスを舐め腐った描写。音楽を効果的に使い滑稽にフランスを描き出す。一方でアウステルリッツの戦いのシーンは圧巻。ハリウッド映画たるものこうあるべきだろうというロマンあふれる映像体験が出来る。
リドリー・スコットの描き出すナポレオンはあくまでも一般人、「市民」であり、母の期待、妻への見得、そして国家(国家の代名詞はshe)への威厳と段階を経ながら「女性」という通底する概念を追っていく。経った3時間弱の映像でナポレオンの一生を追うのだから多少駆け足の部分は目立ったがそれにしても上手くまとめたのではないだろうか。ジョセフィーヌとの関係から描くことで1つのストーリーを作り出すことに成功していた。
誰かが指摘しているのを目にして笑ったのが、なんで英語やねん。のツッコミ。いや、それな。すぎてぐうの音も出ないが、強いていうならあくまでアメリカ人の描くナポレオンということを強調したかったのだろう。トゥーロン攻略戦のときの馬から砲弾を取り出すシーンは如何にもアメリカといった感じ。ああいう無骨さはフランスではない。
ミッションインポッシブルのヴァネッサ・カービーが好きじゃなさすぎたのが不思議なくらい魅力的なジョセフィーヌだった。せめてヒロインくらいはフランス人使ったらどう?と思うがまぁ魅力的なキャラではあった。
この映画は歴史映画としてはクソだが、映画として見れば魅力的な作品だった。

【追記】
*ジョセフィーヌとの離婚シーン、あれはジョセフィーヌから国家へと乗り換えることを意味してる。
*ジョセフィーヌが不倫するのを非難するのは変だぞ?時代背景、お国柄考えて?
*ワーテルローでのプロシア軍が徐々に迫る意味、ナポレオンの時代が終わりつつあるんだぞ?
*"citizen"の意味、"king"へと変貌する
*ジョセフィーヌがナポレオンに言わせる「私なしでは生きられない」。あれは別にジョゼフィーヌどうこうっていうかあなたは(ひいては人間は)そんなに強いもんじゃないんだぞ?です。
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