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ナポレオンのjasmineのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.0
まず最初に思ったのは、フランス革命のあった18世紀の終わりからナポレオンが没する19世紀の頭までの歴史を知っているかどうかで評価がガラリと変わるだろうなということ。最低限、革命期から共和政、帝政と移っていく流れと主となる人物を知らないと置いてけぼりをくらって退屈に感じるかもしれない。
そういう意味では、マリーアントワネットの処刑、ロベスピエールの恐怖政治とクーデター、ナポレオンの台頭と各戦いの内容、あとは絵画にもなっている戴冠式等は事前に予習しておくと面白いと思う。フランス以外でも登場する場所とか建物なんかも知ってるとワクワクできるはず。

建築物や演出を含む映像描写が素晴らしくて、史実をしっかりと再現しているもんだから没入感が凄まじい。もちろんフィクションもあるに決まってるんだけど昔の話の映画化だしね。リドリー・スコット監督だからこそ撮れる作品って感じで本当に素晴らしい。ホアキン・フェニックスの芝居も言わずもがなで、途中からナポレオン本人なんじゃないかと錯覚するほど。ぶっちゃけよくわからないままで鑑賞しても彼の演技には間違いなく惹き込まれるだろうし、楽しめる。ヴァネッサ・カービィも、静かな演技なんだけど独特で妖艶な雰囲気と目力が圧倒してくる。良い。他の面々も味がある。

最後の決闘裁判ほどではないにせよ、当時のヨーロッパの思想や革命期とそれ以降のフランスのカオスさを淡々と忠実に描く本作は本当に面白い。戦の描き方も秀逸で、歩兵も騎馬隊も大砲も迫力があって、しっかり血も飛び散るけど、本当によくできているなとただただ思う。
日本の世界史に出てくるナポレオン像とは結構イメージが違っているのも新鮮で、ジョゼフィーヌ愛だったり、ちょっとなよったい部分があったりと学校じゃ教えてもらえないようなこともあって楽しい。亡くなる際の言葉とかもね。

ただこの手の作品ではご愛嬌的な部分なんだけど、やっぱりこの見た目と風景、世界観で英語を話しているのは違和感だらけだから欲を言えばフランス語で観たかった。


181/2023
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