オミクロン氏

ナポレオンのオミクロン氏のレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.0
 北野武が『首』で戦国武将の英雄性を剥ぎ取ったように、リドリー・スコットはマリー・アントワネットの首を斬るシーンから始まる本作で、ナポレオンの英雄性を剥ぎ取っていた。

 ナポレオンが他の男と楽しそうに話すジョゼフィーヌを不機嫌そうに見つめるシーンの後、ナポレオンがジョゼフィーヌを乱暴な立ちバックで犯すシーンが印象的だった。『最後の決闘裁判』のレイプシーンを連想したが、男性性の有害さや滑稽さを強く感じた。

 互いに支配しようとするような、ナポレオンとジョゼフィーヌの関係性はスリリングだった。それに巻き込まれたようなフランス軍の死者の数が表示されて本作は終わる。シニカルでドライなリドリー・スコットの世界観を堪能した。