【シッチェス映画祭2024　ヨーロッパ映画賞】
『タイムコード』でアカデミー短編実写映画賞にもノミネートされたファンホ・ヒメネス・ペーニャ監督作品。ヴェネツィア映画祭ヴェニス・デイズ部門に出品され、ゴヤ賞では脚本賞など全2部門にノミネートされた。

面白くない訳ではないが、もう少し過剰さを押し出してもよかったのになぁという惜しい映画。小綺麗にまとめすぎている印象を受けた。

映画の音響技師として働く女性だが、音が遅れて聞こえるようになり…というサスペンス映画。その発想自体は面白いし、女性の内面に迫っていく脚本は独創的だ。

しかし、女性の内面の描写がやや中途半端。ファンタ系でもなくアート系でもなく、かといってエンタメ系でもないというどっちつかずな映画になっている。

この話だったらもっと内面の変化や葛藤などを丁寧に描くべきではなかったか。少しきれいにまとめすぎている。

音が遅れて聞こえるという音響の効果、繊細な演出はとても好感が持てるが、どっちつかずな作品に結局なってしまっているのが勿体ない。悪くはないと思うが、期待していたほどの面白さはなかった。

• #シッチェス映画祭2024
• #第78回ヴェネツィア国際映画祭