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サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版のnadaのレビュー・感想・評価

4.5
ユスターシュの描く男どもはどいつもこいつも女の子ひっかけることばかり考えてるんだけど、ことごとく上手くいかず、振られてばかりなのが良い。だけど、うじうじしたところがないのも、男たちに一切の反省がないところも良い。

新品ではなく、おさがりのダッフルコートしか買えないような男はショーウィンドウに飾られたシャツや新品のダッフルコートを夢見る。とうぜんそんな財力はないので、本を万引きして転売したり、強奪の計画を思い描いたりしているが、そのうちにサンタクロースのバイトをしたり、カジノのバイトのなかでイカサマをしたりしながらカネを稼ぐ。ついに新品のコートを手に入れ仲間に見せびらかすが、すでにトレンドとしては古いと言われてしまうのが切ない。
やはり白眉は終盤だろう。新年の祝いに、仲間と飲み食いし、男たちは街をさまよう。カメラはさりげなく、破壊されたショーウィンドウをおさめている。言うまでもなく、欲しかった服はそこには既にない。──主人公と同じような若者は他にもいたのだ。そう、すべての持たざる若者たちこそがこの映画の主人公なのである。
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