なんて透明な映画だろう。暴力を享楽的に描くことなく、直接的なセックスシーンも一切ない。関係としてのエロスだけが漂っている。役者の表情が心理的すぎるという批判もあろうが、ラストショットなども含め巧妙に両>>続きを読む
ある時期からの(濱口竜介以降?)日本映画の流れに棹さす一作。設定に戦争もしくは再軍備化が示されているが、それを正面から扱うわけでもない。そうした問題に触れながらも、対決することを逃げているような作風に>>続きを読む
赤い帽子が移動する映画。
上手いと感心すると同時に、作り手の欺瞞というか狡さを感じる作品。
連れ合いを亡くした主人公が、五年前にかの女と出会ったリゾートホテルに泊まり、かの女との思い出を辿り直し、>>続きを読む
出だしから俗なイメージとルーズな設定のドタバタの連続でげんなりしながら見ていたら、後半になって作中の時空が切り替わり、一気に怒涛の展開をむかえ、それまで提示されていた物語空間の意味がたちまち理解できる>>続きを読む
大学生の時以来の視聴。
完璧。当時の人物、道具、空気、時代が再現されているかのような錯覚に眩暈がする。ほとんどドキュメンタリーと見間違えてしまう完全なフィクション。凄すぎる。
久しぶりの視聴。
黒沢清で一番好きな作品はこれかもしれない。「投げること」と「引き摺られること」の反復。
ひとつの画面の中で様々な動きとドラマを走らせる。イオセリアーニのように。
田中泯のイメージビデオ。彼のナルシシズムがダダ漏れ。路上でのゲリラ撮影はちょっと面白かった。
『HAPPYEND』(空音央)。素朴な疑問がいくつか浮かぶ。なぜこれを「近未来」というSF的な設定にしたのか。なぜ権力側とそれに抗議する側を度が過ぎるほど「書割」的に描いてしまうのか。
『HAPPYE>>続きを読む
誰と誰がどういう経緯で戦っているのかも具体的なポリティクスも描かれないという意味で「セカイ系」なのであり、しかしそれ自体に批評性があるとも思えず、むしろそういう設定を選択してしまう作り手の蒙昧さに不快>>続きを読む
やっぱり黒沢清は人間を──ひとりひとりの人間の「個」性を描くことに全く興味がないんだろうなと再認識した。
なるほどたしかにジャンルムーヴィに回帰した感はあり、久しぶりに「面白さ」に全振りした作品かもし>>続きを読む
脱ぎ捨てた男の服を連れ合いの女が片付け、畳み、着替えを用意するという動作が何度も反復される。着替えも一人でしようとしない男は、娘の結婚を認める終盤になって、ようやく一人で服を着替えるに至る。偉そうで甘>>続きを読む
脱ぎ捨てた男の服を連れ合いの女が片付け、畳み、着替えを用意するという動作が何度も反復される。着替えも一人でしようとしない男は、娘の結婚を認める終盤になって、ようやく一人で服を着替えるに至る。偉そうで甘>>続きを読む
付け忘れ。
映画史史上もっとも優れた遺作はこれだと思う。
『秋刀魚の味』の岩下志麻の顛末は、『麥秋』の原節子と比較してみれば、間に合わなかったことの残酷さがよりいっそう際立つだろう。
付け忘れ。
映画史史上もっとも優れた遺作はこれだと思う。
『秋刀魚の味』の岩下志麻の顛末は、『麥秋』の原節子と比較してみれば、間に合わなかったことの残酷さがよりいっそう際立つだろう。
シリーズでいちばん(というより唯一と言うべきか。)面白かった。池松壮亮演じる敵役の個性と強さが作品の対立軸(孤独と友情、単独者とチーム、生き甲斐と労働などなど)を際立たせ、豊かなものにしている。諸々の>>続きを読む
今年もファスビンダーを見られる歓び。
『自由の暴力』(旧邦題『自由の代償』)
宝くじが当たって成金になったゲイが、裏切られ、見ぐるみ剥がされ、野垂れ死ぬまでを冷徹に描く。この救いのなさ。常軌を逸した陰>>続きを読む