シアトル国際映画祭にて。
数年前に観た「対峙」と少し題材が似てるかも。
「イン・セイフ・ハンズ」で養子縁組をめぐるプロセスにかかわる人々を描いたジャンヌ・エリー監督が今回は犯罪の被害者と加害者がグループで対話をする「修復司法」の制度をあるグループの様子を通して描く。
アデル・エグザルコプロスがセザール賞助演女優賞受賞。
アデルが演じるクロエは幼少期に兄にレイプされ、ジル・ルルーシュが演じるグレゴリーは娘を襲われた、他にもひったくり暴行、強盗などで心身ともに大きな傷を負い、怒りに満ちている人々。
彼らが自分の人生を狂わせた張本人に対峙するんだから、いくら冷静を装ってもそりゃ言葉で攻撃したくなる気持ちもわかる。が、意外と恐怖を吐露したり、考えを違った視点から指摘されたりしながら冷静になる人もいるんだな。意外と言えば語弊があるけど、これがこの会合の目指すものなのかな。
被害者と加害者には埋まらない溝があると思うし、実際に劇中でも安易に「赦し」の話にもっていこうとはしていなかった。
修復というよりは、被害者側は怯えたり悲しんで生きることに区切りをつけるという印象だった。
加害者側はイッサが言われていた言葉「有罪だと認めているが、責任を認めていない」がいちばんピンとくる。
トラウマの根源と体面会話するなんて。クロエの気持ちは当然だと思うし、加害者は最初は自分が何か役に立つならとか反省もこめて参加したんだろうけど、話し合いをしてみて何かは変わったとは思う。
ただ、過ぎたことはもう元には戻らないのでなんとも言えない気持ち。
実際のところどうなんだろうね?こんなにうまくいくのかね?と考えたりもした。でもそういう制度があるってことは効果あるor成立する話なんだろうな。