shuki

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストアのshukiのレビュー・感想・評価

4.6
ただただ良過ぎた。今年観た中で最高の横移動(たぶん)。何故か右から左だけれど

男1女2の構図の珍しさ(幕末太陽博はちょっと近かったかも)。デレデレもギスギスもしないあの温度感も他で観たことない。3人とも決断を先延ばしにしているだけのようだけど生き生きともしていて、青春のモラトリアムの陽の部分が2時間で表現され切っているような感覚。
(これが思春期の鬱屈になると『台風クラブ』)
バカンス行ってから時折挟まれる車を捉える超ロングショット、TV番組製作シーン、船が壊れた男と踊るショットの夕日...等を見れば相当ガチガチに作りこんでいるのは分かるんだけらど、全体の印象として緩さがあって、それによって映画の瑞々しさが生のまま伝わってくるよう。本当に緩いだけだと素人動画だし、緩さを失うと工業製品のようになって瑞々しさも失う。緩さの難しさ。
瑞々しくない『パラサイト』⇔瑞々しい『子猫をお願い』

『パパラッチ』もだけど編集キレキレ。オープニングシーンで3人が出逢うまでのテンポ感とか、横移動前の黒味等。
横移動ショットをウエストサイズ軸にする選択。フルショットより広い画だったら印象は全く変わる。

思い返すと魅力的なシーンが沢山ある。例えば、胡散臭い映画監督と試写終わりに移動するシーン。ポンコツ車に乗る事で、ただの移動が魅力的なシーンになる。

結局映画はシーン・ショットの羅列なので、それさえあればストーリーは無くても問題無いっていうのがよく分かる。
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