Monsieurおむすび

ナチ刑法175条/刑法175条のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

ナチ刑法175条/刑法175条(1999年製作の映画)
3.7
#ナチ刑法175条
刑法として存在しながらも、ある程度自由を謳歌できた戦前から、ナチス台頭により厳罰化され強制収容所に送られた同性愛者。
半世紀を経て生存している数名の証言が紡ぐ差別と暴力の記憶。
ナチス崩壊後に解放されながらも、社会の偏見と自らを恥とする呪いにより誰にも話すことができなかったトラウマ。
99年制作時に語られた現実は、語られることが許されなかった歴史の重さをも同時に想起させ、僅かに生き残った彼、彼女たちの恥辱と亡くなった者たちの無念に想いを巡らせる。
女性は妊娠を通した「治療」が可能だとされ、収容所に送られなかったなど、性の主導権もないとされた女性に対する更なる差別には驚きを越して怒りが湧いてきた。

怒りや哀しみが全編から滲む構成だったが、戦時下に人はロマンチックになる。と言い放つ身体的欲求に正直な面は面白かった。
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