かぎしっぽ

スターダストのかぎしっぽのレビュー・感想・評価

スターダスト(2007年製作の映画)
5.0
(字幕・吹替どちらも鑑賞)

以前仕事を辞めた時にDVDをプレゼントして頂き、思い入れのある作品。思い入れ補正を除外しても大好きな作品である。
久々に鑑賞したのでレビューする。

この映画は気弱な青年が、護りたいものを見つけて成長し、ハッピーエンドを紡ぐ王道ストーリーだ。

王道を魅せるには何か捻りや爽快感が必要であるが、主人公もヒロインもイケメン美女揃い…というわけではなく、(あくまで主観だが)少し野暮ったさの残る空気感がある。戦闘もスタイリッシュというわけではない。しかし、それが中世の香りを残した世界観を引き出し、また登場人物達を活き活きと輝かせ、ヒール役や脇役を含めて大好きだと思わせてくれるのだ。

野暮ったい主人公が成長するに合わせて、洗練されていく様子も嫌味がなく、それをサポートするキャラクター達もスピンオフとして物語を知りたくなるくらいに魅力的だ。

ヒロインは金星を擬人化したような存在であり、最初は人間味のない世間知らずな様子から、だんだんと打ち解けていく。嬉しくなると輝いてしまうという性質が堪らなく可愛らしい。

所々コミカルな描写を含ませてくるのだが、その配分が絶妙である。コミカルが行き過ぎると途端に興ざめしてしまうのだが、この作品は程よい暖かさや味を出してくれているのだ。

また、普段はあまり吹替は好まないのだが、スターダストは吹替版も素晴らしい。登場人物達の魅力をより引き立てる、抜群の配役だ。

物語の捻りやどんでん返し、ハラハラさせる駆け引きや、派手なアクション、そういったものを求めて鑑賞するとがっかりしてしまうかもかもしれない。
だが王道なファンタジーが好みで、暖かい気分に浸りたいという方や、難しい考察がしたいのではなく、鑑賞後の爽やかな余韻が欲しいのだ、という方にはとてもオススメしたい一本だ。