Kenjo

ジョー・ブラックをよろしくのKenjoのレビュー・感想・評価

4.4
ついに見れた!
"Meet Joe Black"
邦題「ジョーブラックをよろしく」

ブラックジャックによろしくとタイトル似すぎてて勝手に外科医の話かと思ってたら、全然違った。(ヒロインは内科医)

設定から死神が出てくるという時点でかなりファンタジー要素強いけど、それにしては綺麗にまとまった恋愛映画だった。
随所に使われる音楽のセンスの良さと、感情に訴えてくる楽器の音たちがとても心地よかった。サントラの使い方本当に大事。

なんといっても最初のブラピとヒロインが初めて出会う場面がめちゃくちゃいい。出会ってからコーヒーを飲むまでの流れも、その後のすれ違う別れも芸術的、、と思ってたらあっけなく物語が展開してびっくりした。

話の分類として、勧善懲悪譚、異類婚姻譚、到来譚などとかなりテーマの多い作品だった印象。
そのへんのテーマを詰め込みすぎて3時間と長くなっちゃったのかなと。切ない恋愛話にもうちょっと時間使ってもいいのかなとも思った。
勧善懲悪に関しては「税と死からは逃れられない」って言わせたいだけでしょって思っちゃった。

死神と愛について。
そもそも死神って恋愛するの?って定義から謎ではあったけど、死神が愛を知り人間らしさを得るってテーマ的にそこは触れずに、、
死神が何を表すのかと考察する。恋愛に関しては物心ついた頃の人間レベルであると考えると、死神は人間が愛を知る過程を表現したものと考えられる。人間は人を好きになり、人から愛を受け、時には近づきすぎて傷つけてしまい、時には遠すぎて心が離れてしまったりと、無償の愛を理解するまでに時間がかかる。その試行錯誤こそが人生のテーマであったりもするけど、その部分にスポットライトを当てて、愛を知らない死神という主人公を用いて表現したのかなと思った。
愛というのは、人から奪うものではなく、その人の幸せを願うことなんだっていう結論に至る死神の葛藤の表現はさすがだった。

個人的に『死』をテーマにした作品は好きでどう表現するんだろうとか、死生観はどう表れるのかって気にして見てる。今作品も、自分の死期を悟らされてからどう生きるかという視点で見ていたけど、ビルという人間がそもそもよくできた人間すぎて、死を間近にして死を怖がったり、後悔したりやり残したことをやるわけではなく、これまで通り生きていっていた。彼にとっては毎日が自分のやりたいことやるべきことの積み重ねであり、いつ死んでも後悔のないような生き方をしてるんだと思った。だからこそ、死神も人間界の案内役として選んだんだろうなと。

そして最後の「去り難い、それが生だ」という言葉を言いながらも自ら死へと歩いていくシーンはすごいよかったな。むしろ去り難かったのは死神の方だったけど、人はいつか死んでいくし、死があるからこそ生を大切にできるというのは絶対そうなんだなと思う。生は去り難い。

ラストシーンは色々話題になるところではあるけど、あれでよかったんじゃないかな?死神の若干未熟な人間らしさが表れてて絶妙だったとおもう。
Kenjo

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