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ジョー・ブラックをよろしくのbyebyebleuのレビュー・感想・評価

3.0
今度で観るのは3回目。ブラピとクレア・フォーラニの画が美しすぎて、長尺でも難なく観ることができる。静かな、でもパワフルな映画。お気に入りの映画の1つだ。

3回も見た動機は、ビルの、2人の娘に対する愛の表現が極端に異なるのが何故か知りたいからだ。仮説的な結論は出た。

アリソンだけ、自分を愛している、ナルシシズムの強い人間だからだ。ビルは、スージーもアリソンも愛している。愛の矢印は相手に向かっている。スージーも、ビルを愛していて、矢印は相手に向かっている。一方、アリソンは、ビルを介して自分を愛している。アリソンだけ、自分に矢印が向かっている。そのように感じた。ビルは、アリソンのナルシシズムを自覚して欲しくて、敢えて冷たく接しているのではないか。

作中でアリソンは、ビルの誕生日パーティの幹事という、大変な仕事に従事する。ビルを喜ばせようと必死のアリソン。しかし、ビルは自身の誕生日に豪勢なパーティなど望んでいない。現に、パーティ当日は自室で待機していた。一方アリソンはそんなビルの気持ちに構うことなく我を通す。ケーキが嫌いなビルに試作ケーキを食べさせたり、(ビルにとって)どうでもいい演出について相談したり。結局アリソンは、「父親を愛している」のではなく、「父親の誕生日を利用して、自分の理想のパーティを企画している人」だし、「父の威光を借りて自身が素晴らしい人間だと思いたい」のだと思う。

スージーは医師として働き、アリソンは働いていないこと。スージーは薄ぺらいドレスでパーティに参加し、アリソンは派手なドレスを着ていたこと。スージーは父の死期に気づき、アリソンは気づかないこと。

所々で、アリソンにとって本当に大切なのは自分なのだと感じさせるシーンがある。
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