アタラシ

瞼の転校生のアタラシのレビュー・感想・評価

瞼の転校生(2023年製作の映画)
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映画を見続けるのは、こういう映画に出会うためというところ、ある。

たった80分だからこそ描けるボーイミーツボーイとその別れの物語。
この尺に過不足なくみっちり詰め込まれてて大満足。
松藤史恩くん演じる裕貴と斎藤潤くん演じる健の瑞々しい魅力がスクリーンに眩しく光ってたまらない。

固い意志で進学をせず役者を目指す裕貴が秀才の健を通して学びの喜びに目覚めるのもすごくイイ。
元カレの健への執着が見えてた茉耶ちゃんが大衆演劇へのめり込んでいくのも微笑ましい。
高校入ってからは健とは素敵な友情を育むんだろうなと。裕貴も演技の道に進みながら進学せずとも勉学にも励むのかなと。
そして再び巡業の中で3人は再会するかもしれない。それぞれがエンドロールの後に歩むかもしれない道にも思い馳せられる。

タイトルも秀逸。お互い会いたくなったら、目を瞑ればいい。
ラストシーンを時系列いじってあそこにしたも大正解。天晴れ。

的外れかもしれないですがそうじゃないかなと思った点。
健くんはおそらく恋愛対象は男じゃないかなと。
彼女との進展に違和感を感じ、(通常ならば演者と客の関係だから)恋愛へは発展しない異性である女性アイドルへ逃避のようにハマってるあたりは、10代のセクシャリティへの迷いを描いてるような気はしたなぁ〜。
まあ主題ではないのでそこまで踏み込む意図はないかもしれないですが、そう解釈できる展開かなとは思います。

ちなみに自分が見た回の観客は「大衆演劇」という渋い題材ながら若い女性の一人客がちらほらといたので、おそらく『カラオケ行こ!』人気で齋藤潤くん目当ての集客かなぁという想像もしました。
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