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市子のfumielのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
東京国際映画祭の上映作品。
無戸籍という社会問題の闇を投影した非常に重たいテーマの話。今年観た映画の中で1番良かった。

杉咲花さんの演技が圧巻過ぎて、冒頭のシーンからさすがだと言わんばかりに色々とすごかった。かつ、冒頭の長谷川が市子に婚約届を差し出すシーンは、最初に観た時は何も知らないからなんとも思わなかったけど、ラストに観た時にはその時の市子の考えている気持ちや意味がすべてわかってとても苦しくなった。

冒頭のシーン、市子の好きな食べ物はお味噌汁という話で、「夜になると、どこかの家からお味噌汁の匂いがしてくるから。憧れの香り」みたいなセリフがすごく良かった。それも今思うと切ない。

この映画を通して、私は無戸籍についてあまり深く考えたことがなかったけど(今日本では800人超えだそうです)、こういうことで苦しんでいる人たちがいるんだなと知ることができて学びになった。やっぱり映画って自分の知らない世界(社会問題)があることへの気付きに繋がるなあ。
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