Monsieurおむすび

市子のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
#市子

生きたい
戻りたい
助けたい
会いたい

なぜ、市子は失踪したのか?
理想や夢など遥か彼方、このミステリーの渦のど真ん中で求心力を放ち続ける淡い希望が、それぞれの断片的な〝市子〟の記憶と結びつき、存在しない人間の輪郭を形作り、目の前にいた人間の存在を曖昧にしていく。
その向こう側を覗かせない目の前を覆う靄は闇なのか?光なのか?
法や制度とは別に、不確かな自己をどう証明すれば私でいられるのか?
自分で居続ける為に過去を捨てていく市子の本能にそんなことを思考した。

杉咲花を通した市子の生きることへの情念に、中村ゆり演じる母親の寄る辺のなさと気丈さに魅せられ、私はただ祈っていたのだと思う。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび