私の人生って何だろう?
私が生きている証は?
酷暑の中でも私の人生は凍ったまま。
長い間暗い地下で過ごす蝉でさえ
夏が来れば陽の当たる場所で
存分に"生"を謳歌できるのに。
私の人生って何だろう?
夢ができても、愛する人ができても
私は暗い闇の中。
羽化できず殻に閉じ込められた蛹のまま。
だから私は、一瞬差し込んだ陽の光を
遮るように闇へと消える。
私を照らさないで。
私が私を生きるために。
とにかく脚本が秀逸。
市子の人物像を複数の他者の視点から映し出すことで徐々にピントが合ってくるような構成は中弛みを感じさせない一級品。
パンフレット記載の市子の年表を読むと、いったい市子とは何者かだったのかの答えに近づける。
が、それでもなお考えさせられる深みが今作の肝であった。
サロンシネマさまにて。