こばまさ

市子のこばまさのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.7
日本アカデミー賞関連作品を観てみよう!
早速ですが、3/8からアマプラで配信されたコチラ。
どんな話なのか全く知らなかったのに、昨日観たアカデミー賞受賞式で若干ネタバレを食らった…
それでは、記憶を消していってみよう。


-川辺市子(杉咲花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。
途方に暮れる長谷川の元に、市子を探しているという刑事・後藤(宇野祥平)が現れる。
後藤は、長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この人は誰なんでしょうか…」と尋ねる。
市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染や高校の同級生と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていた事を知る-

“全ては、生き抜くために…”


ずっしり。どっしり。重い。
なのに、真夏のセミの鳴き声と部屋で回る扇風機が、乾いた雰囲気を醸し出す。
ファーストシーンから引き込まれ、あっという間に市子が失踪してからが、この物語の始まり。

ここからは、あらすじにも書いた様に市子の幼馴染や友人たちにフォーカスしていく流れ。
市子が過ごしてきた壮絶な家庭環境が、露わになっていく…。


この辺りまで来ると、この後どうなるのかは大体想像がつく。
それでも、最後まで見応えを失わない。
それも全て、市子を演じた杉咲花の存在感…いや、空気感と言った方が正しいのかも知れない。

市子の恋人役の若葉竜也も、観る度にいい俳優だなって思わされるし良かったのは言うまでもないんだけど…
個人的には、市子の母親役を演じた中村ゆりが1番刺さった。
彼女って、幸薄い役がとことん似合っちゃうからそこまで気にして観てなかったけど、あるシーンでの童謡「虹」を鼻歌で歌いながら皿洗いをしているシーン、ここでの市子との掛け合いには震えた。


市子が育った街が大阪なので、終始関西弁が飛び交うんだけど、みんな方言とかイントネーションとか上手すぎない?
と思ったら、ほぼキャストは関西出身だった。
そんな中、1人東京出身の杉咲花は、そこまで含めてすごかった。
というワタシは関西人ではないので、本物の関西弁の仕組みは分からないんですけど。


この作品は、市子に感情移入できるかできないかが左右すると思う。
ワタシは半々かな…ズルい答えだけど。

どうせなら、もう少し古い時代に設定した方がリアリティが増した気もしたけど、どんな時代にも市子の様な人間が居るかも知れないって、そう思ってしまう作品。


『怪物』にも『ゴジラ-1.0』にも勝てなかったけど、杉咲花ちゃんにはコバデミー賞をあげよう。
こばまさ

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