SHOCKER戦闘員の映画日和

市子のSHOCKER戦闘員の映画日和のレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.3
2024.03.14
たまたま杉咲花さんのポスタービジュアルが印象に残っていたので鑑賞。

ざっくりとした物語としては複数の人物視点から-市子-と名乗る人物がこれまで生きてきた痕跡を追っていく物語。といった感じでしたが、予想を軽く超えて凄い作品を見てしまったなぁ...と言う印象でした。
人間の本性が浮き彫りになっていく手法はよくあるジャンルながら、過去と現在の時間経過などそこまでダレることなく鑑賞する事ができました。

それなりに登場人物も多いですが、
個々のキャストで本当に色濃い爪痕を残してくるのでそこは安心して見れるかなといった具合に長谷川を演じられた若葉竜也さんは最近だと『愛にイナズマ』も鑑賞していたので、
何処かこう隠しきれない不安定さが滲み出る表情と佇まいが印象に残る俳優さんですね。
とはいえ本作の魅力を最大限に引き上げたのはやはり市子を演じられた杉咲花さんの圧倒的魔力あってこその魅力だと感じました。
こういったジャンルのお芝居はあまり演じられていない印象もあったので、
これまた食らってしまいました。

市子にとって人間そのものは人生設計のための部品かの如く、周囲の人々を限界まで惹きつけて離さない。という文字通り強烈な-魔力-を一手に引き受けている存在なだけに、物凄い吸引力でした。

実際のところ市子のような境遇にある人々というのは数多く存在すると同時に、所詮は部外者の我々がどれだけ寄り添い、介入する事ができるのか?
という部分においても何処か人間力を試されている感覚もあり、一口には語り尽くせない何かをボトっと置いていかれた印象も受けました。

いずれにしても人生に正解は無いからこそ市子流のやり方で人生というものに向き合い、限られた手札の中で一生を遂げていく様は見方によっては何処か美しさも魅せる杉咲花さんの演者力にただただ圧倒されました。