まず特筆すべきは、杉咲花の演技。
掴みどころがなくフラフラ漂い、どこか芯がありながらも脆い、そんな独特の空気を纏った市子の表情や喋り口調を見事に演じていた。
その他、思い上がりも甚だしい北の酔いしれ具合、キキちゃんの純粋さ、そして何よりその能天気さとまっすぐさで市子を包み込む長谷川など、全ての登場人物が素晴らしく、物語をひきたてていた。
同情ではなく憐みでもない、長谷川のまっすぐな愛情から溢れ出す涙が美しかったな。。
もちろん市子が犯した罪は許されるものではないが、ただ単に有罪か無罪か断じるのではなく、そこに至るまでの経緯や環境にまで想像を巡らせることが、見知らぬ誰かを救うことになるかもしれないと感じた。