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ミラーズ・クロッシングのKのレビュー・感想・評価

ミラーズ・クロッシング(1990年製作の映画)
3.0
異色のハードボイルド。オープニングのウイスキーを作る場面からもうかっこよい。と思ってたらいきなり話が始まって、淡々と、ただ静かにドラマが展開していく。でまあトムがとにかく弱い。若干の肩透かしを感じながらも忠誠心を曲げない姿は勇ましく見えてたけど、結果的には静かに終わっていく。トム、作品自体も然りで、いまいち掴めないところも感じつつも、バーニーが殺される二つの場面では非情さを感じさせ、と思ったら仲間思いのやつで…その弱さこそが人を大切にできる強さみたいなものを感じた。と同時にバーニーから溢れる命乞いのエゴがとにかく醜い。人間としてのどうしようもなさが全面に出てた。その分2回目の場面では本当のギャングとしてのトムが出てて非常にかっこよかった。ショットも鬼パワフル。終盤にさしかかるあたりでの、キャスパーがデインを殺すところで、カメラがぐいっと役者の顔に寄っていくところは、その映画の世界へしっかりと誘うかのような強さがあった。映画館で見れたら多分余計おもろかったんやろうけど、まあ十分すぎるくらい渋いフィルム・ノワールでした。
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