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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
米ニューイングランドの名門寄宿学校バートンの1970年のクリスマス休暇シーズン。
生徒からも教師からも嫌われている気難しい古代史教師ポール・ハナム(ポール・ジアマッティ)、直前に母からの連絡で帰れなくなった、優秀だが好戦的な学生アンガス・タリー、同校の生徒だったがベトナムで戦士した息子の悲しみが癒えないカフェテリアの料理長メアリー・ラム。
それぞれ事情・過去・苦悩..を抱える孤独な3人は、The Holdovers(学校に居残り)となり、新学期まで共に過ごすことになる。
※もう1人、メアリーに思いを寄せる用務員のダニーもいます。

当て書きされたというポール役のポール・ジアマッティを始め、アンガス役の新人ドミニク・セッサ、メアリー役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、それぞれがいい味なんです。

街並み、インテリア、ファッション、空気感、1970年の再現力の高さ。
ポールがアンガスとメアリーにプレゼントする『自省録』(ローマ皇帝の一人、マルクス・アウレリウスが書いた哲学書。ポールにとって神の出てこない聖書的な存在)や、アンガスと行ったボストン美術館の古代美術コーナーで話す内容。
メアリーが、息子が好きだったというArtie Shaw「When winter comes」のレコードをかけるシーン。
なども印象的。

年が明け、新学期が始まり、3人それぞれに起こる変化。ラストもじんわり。
地味めではありますが、心に残る良作でした。
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