Omizu

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのOmizuのレビュー・感想・評価

3.8
【第96回アカデミー賞 作品賞他全5部門ノミネート】
『アバウト・シュミット』アレクサンダー・ペイン監督作品。テルライド映画祭でプレミア後、助演女優賞(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)を中心に絶賛。アカデミー賞では作品賞など全5部門にノミネートされている。

前作『ダウンサイズ』が伸び悩んでいた中での新作、非常にペインらしい人間喜劇になっていた。

『ネブラスカ』が生涯ベスト級に好きな自分としては、やはりペインのセンスは好きだなぁという感想だった。

寄宿制学校で休暇を学校で過ごすことになった三人を描いている。頑固者で嫌われ教師、息子を亡くした給食のおばちゃん、一人残された生徒をめぐる人間喜劇。

いやー、面白かった。英語字幕だったので読み取れていない部分もあるが、ペインらしいユーモアを入れつつ、三人が不思議に連帯感を強めていく様をコミカルに描いている。

ただ、喜劇一辺倒ではなく、それぞれのコンプレックスや悩みも描かれていく。流石は人間観察の鋭いペイン。孤独な三人の心情をこれ以上ないほどナイーブに描いている。

ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフの存在感は素晴らしい。特にダヴァイン・ジョイ・ランドルフ!助演女優賞は確実と言われているが、それも納得の演技をみせていた。オーバーになりすぎず、あくまで孤独に苛まれる女性をリアルに演じていた。

不本意とはいえそれぞれがお互いの悩みや人生における後悔などをセリフだけに頼らず表現していた。主演三人の魅力を引き出す演出がいい塩梅。

ペインのフィルモグラフィーでは突出しているとは言いがたいものの、流石のクオリティーだった。会話が多いので日本公開されたらまた観に行きたい。
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