【ピンク映画に愛をこめて❤️若松の夜】
前作『止められるか、俺たちを』がいまいち面白くなかったので観る前は不安だったのだが、主演の井浦新が演じる若松孝二がどんどんコメディアンぽくなって全体的にエンタメ度が増したような気がする。
本作は完全にメガホンを取った井上淳一による「私映画」であり、舞台は若松孝二が創設した名画座・愛知県の名古屋シネマスコーレのある80年代半ばである。
監督の井上淳一さんと木全プロデューサー(演じるのは東出昌大)のこと、よく理解しとかないと面白味が分かんないかもしれない。映画業界裏話のシーンがリアルで「こんなオッサンいるいる感」がすごくあった。
「大林宣彦の3本立て?」「大林の作る映画なんてちっとも面白くないじゃんな〜」「ロッキーみたいな映画撮れよ」などなど。
若き日の井上淳一を演じた杉田雷麟も見事ハマっており、役者全員が皆ひょうひょうとしていて好印象だった。すごく面白いわけではないけど、貴重な映像的資料って感じの人間臭い青春群像劇に仕上がっている。あの時代(昭和)を生きてない若い人には理解しづらい世界観なんじゃないかな。
映画中盤で在日コリアンであることを隠す女性クルー(芋生悠)に主人公の井上淳一が愛を告白するシーンは鬼気迫るものがあった。井浦新演じる若松孝二の「ゲヘヘヘ〜ッ🚬😎」みたいな臭そうな風体がとにかく笑える一作。全編アナクロな雰囲気が好み。
この勢いで『止め俺3』も是非、作ってくれ👍