ふじこ

ぼくを葬る(おくる)のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ぼくを葬る、というタイトル通り31歳順風満帆の写真家の青年が余命宣告を受け、死にゆくまでの話。

31年間の人生が自分だけのものであるなら、その最期の死までもを自分だけのものにしたかったのだろう。

露悪的に愛する人たちを傷付け、遠ざけながらも愛おしく離れがたく、時に泣きながら夜を過ごし、それでもまた終わりに向かって歩みを進める様はまさに誰もが生きる人生そのものだなと思う。

分かち合い、泣きながら抱き締められる事の出来た祖母がいて良かった。
"今夜、あなたと死にたい"という言葉の重みと愛に泣いてしまった。

わざと酷い言い方で捨てた恋人も、多分にあったであろう姉への嫉妬のような複雑なものも、ゲイではあるものの子供への思いも、彼が本能で生きた事によって好転したものもある。
しかし子供時代の彼か、彼が遺す子供の影か、生命力しかない子供たちを見つめる目がとても切なかった。

主役のメルヴィル・プポーの圧倒的ないい男っぷりがガリガリに痩せて消えゆく様が悲しいのと、劇中何度か撮影した写真が最後まで出て来なかったのも寂しい。
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