川の上流で起きたことは必ず下流に影響が出る。
というセリフがあったがこれがこの作品の全てだと思う。
上流にいる人たちが自分たちのことだけを考え目の前の餌に飛びつくことでバランスが崩れ下流の人たちにも影響が出る。
これはまさに現代を生きる自分たちの物語。
相互理解、共存っていう言葉を使って分かってる感を出す人が最近は多いが個人的にはそんなものは無理だと思っていて、この映画はそれもナチュラルにそしてグロテスクに描く。
相互理解、共存が無理であることを分かった上で何をするかみんなで考え対話していくしかない。きっと。
これだけ書くとお堅い社会派作品のように思うけど何がすごいって笑える作品でもあるということ。
劇場で何回も笑いが起きていた。
車の中での会話なんて最高に面白い。
濱口竜介が描く会話劇毎回すごいね。
これが噂の事前に時間かけてやる役者陣の本読みの結果なんでしょうか。
映画の構造について思ったことは
編集と劇伴のぶつ切り感がバランスの崩れを表現している気がする。
そしてこの作品を撮影しに行く行為自体も作品に出てくるグランピング計画と重なって見え映画を撮ることについての映画にも見えた。
あとからパンフレット読んで 確かに と思ったのはカメラの位置は誰の視点でもなくカメラの視点、的な監督の発言。
確かに何かの視点でないショットが多く、それもまた誰にも主観を持たさず、映画を撮影していることを分からせる構造にもなっていると思った。
