「答えではなく、問いを投げかける映画」
ドライブマイカーの濱口監督作品。
ひとつひとつのセリフがすばらしい。
特に芸能事務所の高橋とマユズミの車内でのかけあいのシーンは何気ない会話に見えてその人物の本音が現れていて、登場人物のキャラクターがよく伝わってきた。
最初の住民説明会の時のふたりの印象と最後の印象は大きく変わった。
一方で主人公の巧に関しては、口数が少ない。
その分、少ない言動のひとつひとつから、手の届く範囲を大切にしている優しさと強さを感じた。
映画全体のトーンが静かで心地よく、ストーリーも大きく展開しない割に、セリフと音楽によってこんなにも惹き込まれるのか、と思った。
ラストはこれまでの静けさから一変して、衝撃的だった。あの後どうなったのか？監督は何を伝えたかったのか？答えを色々考えるけど、全然わからない、、、
起承転結がはっきりしてて、ハッピーエンドで終わる映画もスッキリしてて好きだけど、問いを投げかける映画もいいなと思う。
答えが分からない分、改めて登場人物の言動や心境を注意深く観察できるから。
