濱口竜介総決算的な展開からネクストステージを志すラストが印象深かった『ドライブ・マイ・カー』の次作としてはなるほど妥当な意欲作。最も近しいのは『永遠に君を愛す』か。
車の後方を捉える移動ショットの執拗な反復は、車の進行方向を見つめる「都会人」の前方(進行方向)を捉えるショットに不穏な陰を負わせることになる。
森の横移動のベルトルッチ(→黒沢清)、時制ジャンプとロングショットのアンゲロプロス、傷を負った手のショットのブレッソン、煙と霧を帯びるロングショットの溝口…
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・初期ゴダール的なタイトルの見せ方:
EVIL→EXIST→DOES→NOT
・ファーストショットの反復、ラストショットとの呼応:山道の木枝越しに空を仰ぎ見る移動ショット
・「最近忘れすぎ」
・ピアノの上に置かれた写真→「母」の不在
・「別の場所に…」→陰影を帯びる主人公
・運ばれる娘の反復
・湧き水を運ぶショットのドリー効果
・説明会の質疑応答シーンにおける言葉選び、食卓シーンや車内の会話における切り返しの濱口節
・マッチングアプリにおけるマッチをフラグとして扱うこと
・『ハッピーアワー』夫婦