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悪は存在しないのsushiのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.4
分かりやすくて面白いゴダールって感じ。
『寝ても覚めても』の"水"のテーマが、本作ではより前面に出ている。
途中、主人公のノートに尾形光琳の「紅白梅図屏風」が描かれているんだけど、この絵は単に2本の梅の木とその間に流れる川を描くのではなくて、屈曲した白い梅が老いた男で、しなやかな赤い梅が若い娘を意味し、真ん中に流れる川は男女の性的な関係を表してるという説がある。
だからといって本作に出てくる"水"のモチーフは性的な隠喩であると言いたいんじゃなくて、人と人との間の関係性、さらにはその人たちの本質みたいなもののメタファーなのではないかと思う。まさに『寝ても覚めても』でのラストの汚い川は人間の本質を意味していた。
監督が「紅白梅図屏風」についてそこまで知らなくとも、"水"を印象的に描く作品としてこれをさらっと出してきたのはすごいなと思ったという話。
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