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ハピネスのyzのレビュー・感想・評価

ハピネス(2024年製作の映画)
2.8
こういう作品を観て腐すのは、私が嫌いな冷笑的振る舞いに近いと思うけど、私の「目的」は好きな俳優を観る。だし素直に良いと思った所も記録するので冷笑とは多少レイヤーが違うでしょ?という言い訳。

まず、想定通りに良かったことは衣装。蒔田彩珠と橋本愛の七変化とでも言うべき服の数の多さは見応えがある。そして蒔田彩珠さんはやっぱり発声が凄い。次に、想定外の良さの一つ目はメインの人物が「好き」を冷笑しないこと。二つ目は、屋内の撮影地のお洒落さ・ゴージャスさ。最後に、死生観や哲学的語りが多かったこと、この手の作品で死ぬ人が、死の理不尽な偶然性を自覚しているのは面白かった。

逆にどうしてもダメだったのが、まずは台詞回しで、原作では問題なくても現実の俳優が演じることによって生まれる違和感が全く解消されていない。また演技・演出のトーンも人によってズレがあるのが厳しかった。どちらも非実写映画のトーンではあるものの、多くの人物は低いトーンなのに、一人だけ高いテンションなのを見せられるのがキツかった。その人だけ役柄的に死に対する向き合い方が違うのは納得出来るものの、見せ方として上手くいっていないと思うし俳優の経験値の違いが出てしまっているように思う。
そして、メイン以外の人間が物語の為にしか存在していない点。メイン人物たちは「好き」を笑わないが、周りの人間たちは振り返って見たり、「一緒にいて恥ずかしくないの?」と言ったりする。それはメインの人のセリフを引き出す為の存在でしかない。良くない作為性を感じる。バスの中で、体調が悪くなるシーンも同様で、明らかな体調悪化と描写されていてフレーム内に周囲の人も入っているのに、雪夫が動くまで完全に無関心なのが、あまりに気持ち悪い。最後に、亡くなった時まず両親に電話しないのもさすがに変すぎると思う。
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