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ハピネスのsingerのレビュー・感想・評価

ハピネス(2024年製作の映画)
3.3
もし、自分の命が、あと1週間だったら。
もし、自分の大切な人の命が、あと1週間だったら。

この映画を観ながら、ずっとそのことを考えていました。

“余命モノ”っていう、ひとつのジャンルでもあるんじゃないかって位、
残された命を、誰とどう生きるかを描いた映画作品は、とても多くて、
自分も好きな作品も沢山あったりする。
その中でも、この「ハピネス」は、とても然りげ無く、大袈裟じゃない所が良かったなぁと思いました。

映画初主演の窪塚愛流くん。
お父さんが名優・窪塚洋介さんということで、確かに雰囲気や、演技の方向が似ているなぁと感じる所はあったけど、まだまだ経験も浅く、いい意味で未熟にも感じられてしまう、その演技が、この作品にはとても良く合っていると思いました。

対して、相手役の蒔田彩珠さん。
彼女の方は、まだ21歳とは思えない位、主人公・由茉が背負う、繊細な心の機微を、とても上手く演じられているなぁと思いました。
これまでのキャリアの中で、数々の素晴らしい監督さんたちに見出されてきた、その実力は、今作でも確かに発揮されていて、これからの演技も楽しみになってく位でしたね。

そして、自分はどっちかというと、やはり余命1週間を告げられた主人公・由茉の両親を演じられた、山崎まさよしさんと、吉田羊さんの方に、自分を重ねて観ていたし、かなり感情を持って行かれましたね。

「もし、自分の娘が同じ立場だったら?」

そんな事を思いつつ、この2人の両親の、温かく優しく、気丈に娘を想う、真っ直ぐな気持ちを、受け取りながら、共感出来たのも、とても良かった所です。

でも、本当、完璧だなぁって思ったのは、橋本愛さん。
この役柄にピッタリ。
っていうか、彼女くらいじゃないと出せないんじゃないかっていう、その雰囲気がとても見事で、存在感がキラリと光ってましたね。

そんな、少ない登場人物たちの中で、
残された命を、どう生きるかについてを、
とても丁寧に描いた作品だったなぁと思いました。
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