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人間の境界のkyameruのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
4.7
このような映画をドキュメンタリーではなく、演者がいてドラマとして作っていることに、まずその気迫や態度に感銘を受けた。ここで描かれていることが誇張ではなく、現実よりもドラマチックに描こうとしているわけでもないことがわかる。特定の地域や人々の問題ではなく、その奥に普遍的な人間の問題を突きつける。僕はこの映画における国境警備隊を自分とは全く異なる性質の人々だとは思えない。これからもっと自分自身の人間性を日々疑い責め続けなければいけない時代になっていく。現在注目を集めている地域だけでなく、あらゆる場所で絶望的な一日を過ごす人たちがいる。難民のボランティアに参加しても数回で心が離れてしまうし、デモにも入り込めない人間として、僕は日々どのように生きていくべきなのか。最後の方は少しだけ救いがある。そのような救いが必要だったのか。それは物語にとって必要である以上に、これから行動する人にとって意味を持つ救いだったのだろう。そしてラストでまた別の問題提議をする。すごかった。ポーランド国内で凄い観客動員数を記録したという。非現実的ではあるが日本でもそのようなことが起きて欲しいと思った。
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