このレビューはネタバレを含みます
閉ざされた雪の山荘で起こる「優しい殺人」
いい意味で東野圭吾作品っぽいヒューマンドラマを織り込みつつ
展開されるシチュエーションサスペンス。
複雑になりやすいシチュエーションサスペンスを
視覚効果を通じてわかりやすくしていたことと状況整理のために
自然に考察・検証パートやヒントを盛り込んでいたのがよかった。
こういうサスペンスは役者の知名度やシーンで何となく犯人が読めてしまうところがあるが今回はその点からみると人選はすごい良かったと思う。
ただ、如何せん「推理」というエンタテイメント性に寄りすぎて
人物描写や関係性描写が弱くなって、動機やロジック判明後の衝撃が弱くなってしまっているようにも感じた。
推理系の映像はこの辺の塩梅が難しいんだなと痛感。
「舞台で演じてる人」の演技をする森川葵の力量が圧倒的で
「演じてる人」の中でも力量がある、と思わせる塩梅の演技が
その器用さを浮き彫りにしていて素直に脱帽です。