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ある閉ざされた雪の山荘でのkomagire23のネタバレレビュー・内容・結末

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)

この映画で私的感じた3つの問題

東野圭吾さん原作でこの力ある俳優陣の座組で面白くならない訳はないと思って見に行ったのですが、残念ながらそこまでの内容ではありませんでした。

そう感じられたのは大きくは3つの問題があると私には思われました。

1番目の問題は以下です。

探偵役の久我和幸(重岡大毅さん)は、オーディション最終日に、犯人と目されていた本多雄一(間宮祥太朗さん)が雨宮京介(戸塚純貴さん)を殺さない、との確信を持つ必要があったと思われます。
なぜなら1%でも雨宮京介が殺される可能性があるのであれば、このオーディションを最終日前に止める必要があったからです。
しかし映画の中で、オーディション最終日を迎える前に本多雄一が殺人を犯さないとの説得力ある根拠を示されているとは思えませんでした。

2番目の問題は以下です。

2日目の夜に本多雄一と久我和幸は2人をひもで結び付けて、元村由梨江(西野七瀬さん)失踪(殺害?)に関してアリバイを成立させたとの説明があります。
作品的にはこのことによって本多雄一以外の協力者がいることが判明します。
しかし、あのような簡単にほどけそうな簡易なひもの結びつけだけでは、本多雄一のアリバイが確実だとは観客の私からは思えませんでした。

そして特に作品の根幹に関わると思われる、3番目の問題は以下です。

この映画は、前の公演で役を奪われ事故で半身不随になった麻倉雅美( 森川葵さん)が主犯となり、本多雄一が協力して、笠原温子(堀田真由さん)と元村由梨江と雨宮京介を殺害して復讐しようとする物語です。
すると、麻倉雅美の犯行動機の説得力として、麻倉雅美のオーディションでの演技が、映画の観客にも説得力ある他とは違って図抜けた演技だったことを示す必要があったと思われます。

しかし残念ながら、映画の中で示された麻倉雅美の演技は、他を圧倒する優れた演技だと、観客の私には説得力を持って思うことは出来ませんでした。
なぜなら麻倉雅美のオーディションでの演技は、直線的で含みに乏しく、人間の矛盾に満ちた複雑な背景を感じることが出来なかったからです。

ただこのことは、麻倉雅美を演じた、他作品で優れた演技を度々見せている俳優の一人である森川葵さんの問題とは思えませんでした。
複雑な深さある人間の含みある演技を、この映画の飯塚健監督が考え尽くして要求しきれてなかったのが要因だと思われました。
なぜならこの映画全体を通してそれぞれの人物の描写は、含みが乏しく、多くが直線的だと思われたからです。

麻倉雅美のオーディションでの演技に説得力がなければ、この映画での麻倉雅美の犯行動機の説得力も揺らいでしまいます。

以上の大きく3つの問題が、この映画を説得力ある面白い映画にし損ねていた要因だと映画鑑賞後に思われました。

本来は魅力ある俳優陣の皆さんと、東野圭吾さん原作での座組で、この映画はもっと面白くなった可能性があっただけに、残念な内容になってしまったと、個人的には僭越思われました。
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