べし酒

52ヘルツのクジラたちのべし酒のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.7
まー話自体は良き話だし杉咲花さんも良きだけど……

メインフレームは現在かと思ったら、比重的には過去話が大きく。
志尊淳さんの似合わない髭と起用の理由は分かったが、トランスジェンダー役に当事者をという潮流からは批判的な言葉も有りそう。

自分は人種差別絡みでそれが当事者の仕事機会を奪うという理屈は分かるが、じゃあジェンダー問題ではそうじゃない人に比べてより理解度が高いというのは役者という仕事の否定に思えたり。
ただ今作の作中の情報の出し方からすると、岡田安吾がトランスジェンダーということを観客に事前に知って欲しくなかった、そこに驚きというエンタメ性を込めたかったのかなという風には感じた。

そういった作為の込め方としては全ての過去が判明した終盤の夜のテラスシーンで隣に現れた実体風の安吾にキナコが思いの丈を語るシーンは余計だなと。
安吾が「52ヘルツのクジラ」だったのはここまで観てれば分かるしキナコの心も想像できるよ。そんなこと冗長に語らせるなよと思ってしまって全体の評価も下げめに。

ただそれとは別に、宮沢氷魚さん演じる新名のナチュラルボーンくず振りはキャラとして清々しくある意味爽快でさえあったなと。西野七瀬さんの琴美もそうだけど。
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