福野ふくろー

52ヘルツのクジラたちの福野ふくろーのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.0
【2回目観て整理ついたので加筆 2024.3.11】

〈1回目感想〉周りに迷惑になってるんじゃないかってくらい嗚咽して泣いてしまった。

整理つかないので後ほど。

親に愛されず育った人の「愛されたかった」の悲痛な叫びに、胸が震えないわけがない。

観終わったあと呆然とした。

帰り、すぐ立ち上がれない人が沢山居て自分だけじゃないよなって安心した。すごい映画体験になった。

〈2回目感想 ネタバレ有り↓〉









1回目感情移入しすぎて見えなかった部分がちゃんと見えたので、2回観てよかった。

よかった部分は
・もちろん、愛という言葉で閉じ込めるDV親と子(主人公きなこ)、DVネグレクト親(愛)、DVサイコパス夫、トランスジェンダー(あん)など、この世界に実際にある人、個人をありありと描いている点。めちゃくちゃ心揺さぶられる。
特に主人公きなこは、観てて辛くなるほどきつい境遇でしんどい。でも、愛されずに育った人は、人の違和感を感じづらいので、そういう人を引き当てやすいだろうなと思う。実際にそういう人はいっぱいいるんだろうな、と感じる。描き方が素晴らしいと思う。
2回目も「お母さんが大好きだから、愛されたかった」のシーンでまた涙が溢れた。
・きなこが生きたいって泣いて、そのあと3人で頑張って家を抜け出した後に、ビール美味しくかんじるって笑ってるのは、もうそのギャップで涙溢れる
・カメラワークがすごい。終始動いていて、飽きない工夫がしてあるのかな、と感じた。止まるとこはピタッと止まって注意をひきつける。足から舐めて、だれかなー?きなこ!とか、きなこ越しのみはるを写してから動いてきなこの表情にいって回想!とか、おしゃれな部屋のベッドが数秒写ってから2人入ってくるとか、DVサイコパス夫といい感じになってカメラが足の方を写して背伸びしてキス!とか、いちいちオシャレ。キメキメ!これは好み分かれると思う。俺はそこまでしなくていいんじゃないと思ってしまったけど、凄かった笑
本当にいい映画だった。

でも苦手な点も多々あった。
まず、感動ポルノっぽく見えるところがノイズすぎる。
・きなこが愛されたいと苦しいほどのリアルに迫ったことを泣き叫んだあと、あんの「魂のつがい」と急にスピっぽいことでカットインしてくるのは、どうしても涙が引っ込む。は?何このタイミングで(自己流の思想含んだ)綺麗事言ってるの?となる。
・友達のみはるが、きなこがどうなってるかわかんないのに、仕事全て辞めて来た、は流石に意味わからない。友情すごいでしょ?それで泣いて!と感動させるためのムーブに見えてしまう。
・DVサイコパス夫がデフォルトっぽすぎる。最初優しくて、めちゃくちゃ手を出す男だった。は、きなこ達をこんなに丁寧に描いているからこそ、ちょっと浅く感じた。なんで?
・手紙読んでる時のあんのただ柵の前に立ってるだけの謎カット。感動させようとしてるだけの謎カットはノイズだから辞めて欲しい。
・クジラがあんなタイミングで現れるのもちょっとノイズ。そんなわけあるかいな、ってなってしまう。
・役所の件、そんな悠長にいかなくない?警察に保護されちゃうんじゃない?なんかふわっとしてる。一緒にいるのが感動っぽいから、とされてるみたい。
・最後の安っぽい「笑って泣いてるから(泣)」はほんと蛇足。最後のタイトルの出方もこれ見よがしでださい。

て感じでした!1回目観た時より、スコア0.6くらい下がった笑
でももうこれだけ感情揺さぶられたので、めちゃくちゃいい映画であることは間違い無いです!!!観てよかった。