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52ヘルツのクジラたちのchiyoのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.5
2024/3/2
東京から海辺の街の一軒家に移り住んだ貴瑚。話せない少年の声なき声を感じ取ったことから、彼女自身の過去が紐解かれていく。介護にDVに育児放棄、貴瑚の周りに社会問題をぎゅっと凝縮した感があるものの、負は連鎖しやすくて一つ処に留まりやすい性質がある。そんな崖っぷちにいた貴瑚を救ってくれたのが、街で偶然に出会った杏さん。親身になりすぎな点に多少の違和感を覚えるものの、杏さんの秘密を知ると一気に腑に落ちる。そして、杏さんが貴瑚に掛けた言葉の全てが、途端に愛おしくなる。と同時に、杏さんの優しさが切なくて、ただただ泣ける。あまりにも社会は生き辛く残酷だけれど、少しでも光を差したいという優しさを感じる作品。また、貴瑚演じる杉咲花、杏さん演じる志尊淳がすこぶる良い。久々に、嗚咽が漏れそうになるくらい泣いた。
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