パニ

52ヘルツのクジラたちのパニのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作を観ずに鑑賞しました。

まず、杉咲花の演技力が素晴らしい。
その他の演者も良い演技だが、杉咲花の演技はすっとその作品に溶け込んでいて、すごく感情が伝わる。

貴瑚を救った安吾の方が実は苦しみ悩んでいたと分かった時、安吾だからこそ、貴瑚のことを救えたと感じた。安吾は、自分より貴瑚の幸せを優先していた。しかしそれも限界が来たのだろう。私は、彼の全て理解することはできないが、どれだけもどかしく悩んだことだろうか。私が安吾の立場であっても、あの選択をするしかなかったと思う。貴瑚は、無知で愚かが故、安吾を軽視してしまった。そこが2人の運命の別れ目だと思う。

また、ムシという存在が現れたことは貴瑚は、前に進むきっかけになったと思う。
安吾の死を受け入れ、安吾からもらった多くのことを、ムシを通して還元していく姿がとても美しいと感じた。その3人を繋ぐクジラの鳴き声は、場面に統一感を持たせていた。

個人的には、安吾の母が風呂場で安吾を見つける場面が印象に残っている。あの場面で、一気に全てを悟った。安吾の想いや、母の気持ち全て。胸が苦しくなった。あの場面は、忘れることはないと思う。

この作品は、たくさんの人に観てもらいたい。
パニ

パニ