まぬままおま

Flip-Up Tonicのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

Flip-Up Tonic(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

映画上映イベント「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」にて。
第45回ぴあフィルムフェスティバル入選作品。

蓮實重彦の「SF映画は存在しない」から批判的に着想を得たのか…これも読まないとだな。

1895年制作というSF的設定は、レオン&コシーニャ監督の『骨』を想起するのだが、こちらは1901年だからもっと古くて笑っちゃう。しかしリュミエール兄弟の『工場の出口』はこの年だし、必然なのか。

ただ序盤から自動車は登場するし、発話も現代だから「映画の再創造」ができたかどうかは定かではない。しかしアンドロイド「リーチャー」の登場といった近未来的世界観での劇は章立てによる時系列の操作もあって面白い。しかし時系列が違えど章立てによるトンネルから「墓」までは、一貫としてるのはさすがです。

倒れる、握手する、鏡で髪を整える。そういった日常の運動が映画として現前することで、その日常性が剥奪されて、人間とアンドロイドの境界を揺るがす。その攪乱は、役者が役を演じる上でも功を奏している。