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コンクリート・ユートピアのkakakaのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.8
額面通りディザスタームービーとして受け取るもよし、ただ時勢柄、難民・移民問題のメタファーとしても考えさせられた。
崩壊後、イ・ビョンホンが代表に選出されるプロセスに疑問はあるが、凡夫が権力を握り、残酷な決断を躊躇なくするようになるプロセスは演技も相まってゾッとするものがある。
また彼の髪型含め、ビジュアル表現が秀逸で、舐めてた相手が実は殺人ディクテーター映画としても楽しめ、さらにマンション総出の新年会で踊り狂う人々の影がコンクリートに投影され、まるで地獄で踊る悪魔の所業に見える演出は流石の一言。正に人の心の影を具現化している。
その対比として、ラストのセリフこそ人の心の光、と思えるが、その背景には、本作のように政治も格差も宗教も全てがデフォルト状態になってこそという暗い背景があることに、単純な人間賛歌で終わらせない着地は巧い。
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