MasaichiYaguchi

退屈なエンドロールのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

退屈なエンドロール(2023年製作の映画)
3.4
脚本家・演出家・俳優として活躍する井上テテさんが、エンターテイメントに対する思いを込めて撮りあげた映画監督デビュー作は、映画製作に纏わる様々を浮き彫りにしていく。
映画監督の加賀美久美香は映画館の客席でエンドロールを観ている。
観ていたのは彼女がつくった映画だったが、客席はガラガラで、数少ない観客たちもエンドロール中に帰ってしまう。
ショックを受けながらも映画館を後にした久美香は、近くのタコス屋を訪れる。
そこで「つまらん映画は詐欺罪!」というツッコミを入れられ、傷付く久美香だったが、タコスを美味しそうに頬張っていたサラリーマンの菅沼修二との出会いにより、久美香の気持ちは次第に変化していく。
本作は会話劇による映画で、久美香を軸にしたものと、高校生の畑井菜衣奈と鹿島豊によるものが交互に描かれてドラマが進行する。
この二つの会話劇からは、人にとって映画とは、エンターテイメントとは、という問い掛けが浮かび上がります。