TakayukiMonji

カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

4.5
美術手帖のプレミアム会員限定試写会。
「魔女の宅急便」の原作者として知られる角野栄子さんに4年間密着したというドキュメンタリー。
予習せずに行ったら、素晴らしすぎてびっくりした。本に携わっている人や、創作物を作っている人、それらを愛する人には必ず観てほしい素敵なドキュメンタリー作品だった。角野栄子さんのことをあんまり知らなかったんだけど、冒頭からチャーミングすぎて、一気に心を鷲掴みにされた。なんて素敵な人なんだろう、と。人生は心の持ち方でこんなにも素晴らしく生きれるんだなぁと、とても元気をもらえたし、ひとつひとつのことに興味を持ち、発想を広げていくことや、ポジティブな原因作りを常にしているからこそ素敵な物語を生み出せるんだと思う。(まさに、”物語が生まれる暮らし“というタイトルの通り。)
89歳とは思えないくらいファッショナブルで、エネルギーに溢れていて、周りの人を元気にさせる人。すごい。自分もこういう歳の取り方したい。
34歳で作家に目覚めた時のブラジルの恩人との再会から、魔法の文学館(角野さんが集めたという児童書が収蔵された記念館)のくだりも素晴らしかった。
まじで、これは必見の1本。




以下、ネタバレ。





60年ぶりの再会って、もはやお互い忘れてしまっているはずなのに、あの空間を訪れたルイジンニョさんが、”僕がこの世界観の一部にいるんだ“と言って、感極まって角野さんとハグするシーンが、この映画のハイライト。時空を超えて、自分の人生が与えた影響をルイジンニョさんが噛み締めたんだなと。彼と再会するというくだりは、この取材が入ってこそ実現したことであり、普通だったら60年前の隣人のことをどこまで覚えているかわからないのに、角野さんが成し遂げたことが時空を超えて伝わっていた。これは仕込みではなくて、必然的に撮れた映像だな。感動するわ。
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