選挙という民主主義の根幹、立候補者をひたすら追いかける畠山理仁の内面、そのどちらも十分な追求へと至らぬ内容に憤る。ドキュメンタリー作品の真髄がすっぽり抜け落ちた報道映像として受け止めるしかないので、果たして有権者にどのような課題を持ち込もうとしているのか、マスメディアが振り向かない泡沫候補への取材を通して畠山の奮闘をどこで帰着させていくのか、観客に訴えるテーマがあまりに浅薄である。もっと被写体が闘う姿、抑圧しようとする規範から抜け出す信念を映し出してこそ面白みが台頭する。作り手が防御に回ると何も突破できない。