ragaさんの映画レビュー・感想・評価

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アスファルト・シティ(2023年製作の映画)

4.5

ニューヨークの救命医療隊として活動するベテランのラット(ショーン・ペン)と新人クロス(タイ・シェリダン)、社会の混迷を目の当たりにするふたりの精神が病んでいく過程が描かれる。暴力と憎悪が交錯する都会の>>続きを読む

否定と肯定(2016年製作の映画)

3.0

ホロコーストの否定という歴史の改ざんを非難することは名誉毀損となり得るのか。感情論ではなくファクトを積み上げていく被告側の弁護団チームの勇姿は地味ながらも人道的であり、原告側のホロコースト否定論者は弱>>続きを読む

ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム(2000年製作の映画)

3.5

王道をいくスポーツ&ラブロマンス。幼馴染の男女がバスケットボールを通して学生クラブからプロの世界へと駆け上がる過程でそれぞれの栄枯を交錯させていく。中盤の主観カメラによるバスケ試合の映像が見どころ、な>>続きを読む

グッバイ、ケイティ(2016年製作の映画)

4.0

恵まれない家庭環境で自堕落な母親のケアをする娘ケイティの奮闘を描く。身を売ることに躊躇いは無かったケイティも一目惚れする男性の忠言でキッパリと足を洗う。その切り替えの淡白さは彼女の信条にもつながり、こ>>続きを読む

ルノワール(2025年製作の映画)

4.0

人はそんなに偉くないし優しくないし賢くない。でも身近にいる人を頼ってしまうし好きになってしまう。残酷でもあり慈しむ心情は私たちが感じる日常にある。その主題を描く早川千絵監督のセンスが良い。撮影や編集、>>続きを読む

セキュリティ・チェック(2024年製作の映画)

4.0

主人公がどんどん追い詰められていく描写に定評あるジャウム・コレット・セラ監督が、空港内の出来事をスリリングに演出する。小道具の伏線回収やピンチにトンチで切り抜ける局面は、私たちの感情を見事に揺さぶって>>続きを読む

スンブ: 二人の棋士(2025年製作の映画)

4.0

囲碁の戦略はよく知らないけど、そこは抵抗なく物語に没入できる。実在する棋士チョ・フンニョン(イ・ビョンホン)と彼の弟子になるイ・チャンホ(ユ・アイン)の対局が主軸となる。ふたりの浮き沈みが壮絶で引き込>>続きを読む

F1®/エフワン(2025年製作の映画)

3.5

ド直球のオジサン奮闘ストーリーは、成績不振のレーシングチームを舞台に還暦過ぎたブラピをひたすらカッコよく魅せる。さらにロマンスまである。そうじゃないんだよ、コシンスキー監督。私が望むのは主人公の挫折で>>続きを読む

罪人たち(2025年製作の映画)

3.5

当時の人種差別の様相を知ればもっと楽しめるであろうパニックホラー。マイケル・B・ジョーダンの一人二役の撮影は一体どうやってるんやろ?と興味を引くも、中盤ダンスホールの宴以降イマイチ盛り上がりを見出せな>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

3.5

ある職場におけるひとりの女性のわだかまりは、世間の通例として看過されがち。おかしいと思うことをおかしいと発言する。そのハレーションは本来あってはならぬ風通しの悪さであるが、ジェンダーや忖度、権威主義に>>続きを読む

シンシン/SING SING(2023年製作の映画)

4.0

服役している囚人は何を支えにして生きる喜びを見出そうとしているのか。社会の蚊帳の外ともいえる刑務所に収監される人びとが、社会の居場所を求めるのは犯罪じゃない、彼らを排除することで安心を得ようとする世間>>続きを読む

アヌジャ(2024年製作の映画)

3.0

恵まれない家庭環境で奮闘する少女。類まれな学力を放棄して生活のために働く彼女は、勉学への誘いを受ける。支援しようとする姉と手放したくない雇用者、か弱き少女の決断は…。ここは短編という尺であってもなんら>>続きを読む

ジョンQ 最後の決断(2002年製作の映画)

4.0

妻と息子の三人家族の父親は、雇用側の労働時間削減に不服を漏らしながらもなんとか日々の生活を謳歌する。しかし突然、息子の難病発症に家族は窮地へと向かう。健康保険制度の不全、格差社会の黙認、不条理な弱者へ>>続きを読む

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.5

少々おつむが弱い集団の現金強奪計画は、出だしは順調だがクライマックスの犯行現場でことごとく裏目に転じる。彼らは自分勝手な言動も含めてユルい。しかしそこで非人道には陥らないユルさは微笑ましい。慮る姿勢こ>>続きを読む

ホブスンの婿選び(1954年製作の映画)

3.5

デヴィッド・リーン監督の稀有なコメディ作品、靴屋という限られた空間を移動するカメラワークに独特の流儀を垣間見せる。出し惜しみなく流転していく展開もさることながら、男性よりも強かな女性像は、現実社会の実>>続きを読む

能登デモクラシー(2025年製作の映画)

4.0

石川県穴水町の役場でうごめく行政の関係者と、ボランティア活動の傍、手書き新聞を作成発行する元中学校教師の滝井さんの行動。2024年元日の震災を挟んで各人がどのように変化していくのか、民主主義は萌芽して>>続きを読む

ミシシッピー・バーニング(1988年製作の映画)

4.0

公民権運動家の若者三人が失踪する。現地ミシシッピー州へ捜査に乗り出すFBI捜査官のバディものとして、ジーン・ハックマンとウィレム・デフォーの人物造形が良い。当時の人種差別は大手を振っていた。その撤廃へ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(2025年製作の映画)

2.5

最後のミッションだと予想される今作の構成はとにかく雑な仕上がりなので困惑してしまう。あの黒人捜査官の早急な仲間入りに戸惑うし、宿敵ガブリエルは頭良くないし強くもない。さらに恐るべきAIの脅威も全く伝わ>>続きを読む

遠すぎた橋(1977年製作の映画)

3.0

戦争は人の命を奪うだけでなく、それまで平穏だった生活をことごとく破壊する。上層部の自尊心に振り回される無暴な作戦は、人の心を蝕んでいく。そこに名誉など要らない。争いなど愚かな行為を即刻やめるべきだ、現>>続きを読む

啓示(2025年製作の映画)

4.0

神は存在するのか。運命は本当にあるのか。今作はそれを真っ向から否定する。そして啓示を信じるカルト性に警鐘を鳴らす。この世は森羅万象、複雑な働きによって起きる事象は全て偶然によるもの。そこに理由づけや必>>続きを読む

ガール・ウィズ・ニードル(2024年製作の映画)

3.0

戦争の爪痕は至るところに波及する。赤ん坊の失踪事件はそこに繋がっていくのか、加害者の心情は全くわからないまま終幕する。そこに主題があり、命の尊厳に対する冒涜は、戦争と今回の事件と同等なのか。法の裁きを>>続きを読む

サバハ(2019年製作の映画)

4.0

異なる舞台と登場人物が繰り広げる様々なエピソードがのっけから進行していき、そんなに風呂敷広げてどこで繋がっていくんだろう?と危惧するもクライマックスしっかりと結ばれていく。強引なカラクリがあるけど、善>>続きを読む

クィア/QUEER(2024年製作の映画)

3.0

グァダニーノ監督ならではの楽曲センスは良いんだけど、肝心のストーリーが緩慢で心に響かない。原作バロウズの特色を散りばめているけど、相乗効果は期待値に届かない。しかしあの青年、美男子だねぇ、私もクィアの>>続きを読む

ボディ・バンク(1996年製作の映画)

3.0

どうにも美術の安っぽさが目立ってしまう2時間サスペンス劇場。さらに展開が雑、出てる役者は良いんだけど、どんでん返しが強引な感じ。そんな事あり得るかな、あり得るかも、といった重みが無いんだけど、案外現実>>続きを読む

インサイド・マン(2006年製作の映画)

3.5

マンハッタン信託銀行に人質をとって立てこもる完全犯罪を目論む犯罪集団と対峙する警察捜査官、そして銀行の会長の暗躍が交錯していく。その犯罪の真意は何か、単なる目的達成のプロ意識なのか、エリート階層への警>>続きを読む

アシャンティ(1978年製作の映画)

3.0

良くも悪くも70年代まっしぐらな大味サスペンス。主演のマイケル・ケイン他、出演者全員芸達者なので見応えはあるんだけど、そんな危機の切り抜け方でええの?の連続なので、ハラハラ度がどんどん低下していく。し>>続きを読む

ニューオーリンズ・トライアル(2003年製作の映画)

3.5

銃社会の是非を問うにはあまりにエンタメ感濃いけど、なかなか掴めぬ真相が気になってしまう上質のサスペンス。ありえない策略だけど、陪審制度の欠陥をつく展開は面白い。ラストシーンは陳腐だけど、ジーン・ハック>>続きを読む

13時間 ベンガジの秘密の兵士(2016年製作の映画)

3.5

紛争は憎しみの連鎖から抜け出せない悲劇が待っている。そこに人の愚かさを描く姿勢よりも戦死者を弔う美談へとなだれ込んでしまうあたり、マイケル・ベイ監督のタカ派寄りな信条と病める国の自己肯定感が、どんより>>続きを読む

幻土(2018年製作の映画)

4.0

現実と虚構、現在と未来の境界が曖昧になり混濁する。では真実とは何か。倫理に反する真実が横行して良いのか。そもそも真実は正しいのか。その正しささえ危うくなっていく。そのカオスがグローバル社会の暗部と重な>>続きを読む

スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.0

己の行動に収拾がつかない事態が往々にして勃発する。それでも前を向いて奮闘するマックスとライオンにいつしか共感する。どうあがいても上手くいかない。不器用という陳腐な表現ではおさまらぬ社会の不条理や心の弱>>続きを読む

iHostage(2025年製作の映画)

2.5

実話モノの障壁なのか、登場人物への脚色が薄いのは当の本人への配慮に見えてしまい、そんなトコで忖度するんだったら、この事件から見えてくる格差社会の看過よりも陳腐なサスペンスへと転化されてしまう。全てがス>>続きを読む

ぼくが生きてる、ふたつの世界(2024年製作の映画)

4.5

記憶は人それぞれ大切な瞬間を呼び覚ます。その時には理解できなかった "あの時" は、振り返りによって気づく瞬間がある。主人公・五十嵐 大(いがらし だい)が無意識に足を踏み入れたもうひとつの世界、家庭>>続きを読む

ハボック(2025年製作の映画)

3.5

ギャレス・エヴァンス監督の十八番、痛覚に訴えるアクションは健在。主演トム・ハーディの重量感ある格闘も味わいがある。しかし過去作「ザ・レイド」ファンが無意識に上げてしまってるハードルをギャレス・エヴァン>>続きを読む

鮫肌男と桃尻女(1998年製作の映画)

3.0

登場人物の造形が面白い。ただ暴走する鮫肌の真意はどこに向かっているのか、そもそもの事件のきっかけが甘いので、そこからの展開に説得力が薄くなってしまう。これでは鮫肌の魅力に大きく影響するのでいただけない>>続きを読む

KIDDO キドー(2023年製作の映画)

2.0

数年ぶりに再会した母娘。普通じゃない言動を繰り返す母と普通の生活を望む娘の折り合いは果たしてつくのか。なのに金銭という愛情とは縁遠い即物的な回答はあまりに浅薄であろう。会話も即興的なノリもそこに潜む心>>続きを読む

ベテラン 凶悪犯罪捜査班(2024年製作の映画)

4.5

前作よりもテーマと物語構成が良い。前作は財閥の御曹司の不祥事という勧善懲悪に徹していたが、今作では司法への不信、SNSの横暴、そして倫理の脆弱が交錯する。善悪の境界が曖昧になり、観客側もまた加害側の領>>続きを読む