ragaさんの映画レビュー・感想・評価

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メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

3.5

巷を賑わせた36歳の主婦と13歳の少年の情事。性犯罪として主婦は収監されるも獄中出産、出所後には少年と結婚する波乱の人生を歩む。そんな彼女に焦点を当てた実話モノ映画の企画によって御本人(厳密に言うと御>>続きを読む

特攻大作戦(1967年製作の映画)

4.0

追悼ドナルド・サザーランド。アク強めの役者陣が揃ったアウトローな囚人兵たちの隠密行動は、いささか戦争犯罪のきらいはあるものの文字通り命をかけたミッションがクライマックス緊迫感を高潮させる。名誉や報奨金>>続きを読む

密輸 1970(2023年製作の映画)

2.5

リュ・スンワン監督が手掛けるとほんのりダサくなりがちな演出が今作では(ダサさ)全編全開なのだ。冒頭はまだ温かい眼差しで見守るも途中から食傷気味になる。そもそもこの謀略、かなりの人命が犠牲になってるのに>>続きを読む

ブラッド・アンド・ゴールド ~黄金の血戦場~(2023年製作の映画)

2.5

第2次世界大戦末期のドイツを舞台にユダヤ人が秘匿した金塊をめぐる争奪戦を西部劇調で描いている。当時の情勢よりも多様な立場の人びとの騙し合いが主流となってしまい肝心の人物造形がかなり浅い。結構残酷に人殺>>続きを読む

アメリカン・レポーター(2016年製作の映画)

4.0

2001年、アフガニスタンの紛争地域に赴いた女性リポーター、キム・ベイカーの回顧録に基づいた物語。当初数ヶ月の派遣予定が度重なる延期という事態で数年が経ってしまう。現地取材を敢行する記者団は、心身とも>>続きを読む

WALK UP(2022年製作の映画)

3.0

ホン・サンス監督作品に登場する男性はいずれもだらしない。今作でもモヤっとする空気を醸しながら日常が通り過ぎていく。何も成し遂げない、何の気付きもない。今作では、ハッとさせるプロットも無い。ただ繋がりを>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.5

実話モノとして硬派な印象、警察組織に抗う姿勢に好感を持つ。説明的台詞が多いのと、あざとい演出に鼻白むけど、被告人・金子勇の人柄が東出昌大の演技によって滲み出してくる。彼は犯罪者か、開発者か、彼の日常に>>続きを読む

セルラー(2004年製作の映画)

3.0

責任感が乏しい若者に偶然かかってきた携帯電話の相手は誘拐された女性、助けを求める彼女の居場所も誘拐した首謀者もわからない。警察に駆け込むも釈然としないまま彼女の息子もさらわれる危険が出てくる。といった>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

5.0

全寮制の学校を舞台に嫌われ教師と母親と距離ができてしまった生徒、そして寮の料理長、この3人が繰り広げる年末年始の出来事は、彼らのネガティブな第一印象から次第に本心が見えてきて人間味をのぞかせる。私たち>>続きを読む

足跡はかき消して(2018年製作の映画)

4.0

静かな生活の中で父娘が交わす言葉の中から2人の過去や現在の距離感を垣間見せる演出が良い。環境が変化する中で2人の心情も移り行く過程にドラマが派生する。信頼が主題となって共同体や家族のつながりの脆弱性が>>続きを読む

ジェニファーのしたこと(2024年製作の映画)

3.5

カナダを舞台に事件の勃発から意外な真相が暴かれるまで、ほぼ警察の取調室にて展開するドキュメンタリーの構成が面白い。ただ題名から大凡の内情は推察できるので意外性に乏しいのだが、ほんの些細な自供の食い違い>>続きを読む

ライド・オン(2023年製作の映画)

3.0

アクション場面になると俄然盛り上がるジャッキー映画。日常にあるものを格闘に活用するネタは見てるだけで楽しい。過去作のオマージュも散りばめていて釘付けになる。けどね、物語のぶつ切り感はまだ許すけど、登場>>続きを読む

HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

4.0

環境活動家たちが石油パイプライン破壊計画を周到に練っていく過程を巧く構成している。周到なはずなのに想定外の出来事に遭遇するサスペンスは常套だが物語にグイと引き込まれていく。ラストもう一捻り欲しいところ>>続きを読む

セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

2.5

パニックものとしてどんどん拡大していく恐怖はいいんだけど、その壮大な大風呂敷を広げっぱなしで終幕するのは如何なものか。その危機をどうやって乗り越えるか、人類の叡知がクライマックス用意されていないんだっ>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.5

サスペンスは映画の醍醐味のひとつであり、矢継ぎ早に迫る危機を描く脚本の構成が良くできている。しかしながら教科書的なので予想外な展開は無く、手順に従うように進行する具合で物足りなさを感じる。ラストのナレ>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.8

1人の女性をめぐる男性2人との恋の駆け引きが、テニスという競技を介して繰り広げられる。台詞による互いの思惑の戦術が、クライマックス言葉ではなく視線や所作によって展開する。そしてラスト主導権を握ったのは>>続きを読む

ヤーラ(2021年製作の映画)

2.5

実話に基づくストーリーは数多ある。そこで作り手はどのような視点を据えて物語るのか、当事者の心情や当時の社会背景が主題となって映し出される。しかし今作ではファクトにこだわりすぎたのか、誰にも寄り添わない>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.0

教育現場における学校側の偏見や保身は、やがて子供たちに不審を抱かせる。平等や尊厳はいかに多難な行動なのかを痛感する。矢継ぎ早に選択を迫られる教師の苦悩は、本心をいかに相手に伝えられるか、大胆かつ繊細な>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

2.0

被写体から距離を取って観察する映像は、負の歴史を背景にした家族の営みを提示する。そこから国際・国内紛争が絶えない現代における私たちの日常を見つめ直すテーマへと帰着するのだが、各人が補完しなければそのテ>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.0

アクションシーンは及第点なんだけど、会話場面が面白くない。野心や政治が跋扈(ばっこ)するよりもっと狂った世界観が見たかった。前作「怒りのデスロード」のような、尊厳を手に入れるために奔走するテーマが、前>>続きを読む

サブウェイ・パニック(1974年製作の映画)

4.5

ほぼリアルタイムで進行する地下鉄車両ジャックによる攻防によって様々な人物が事件解決に向けて奔走する。パニックに陥る人質となった乗客の造形に物足りなさはあるものの、主人公・公安局ガーバー警部補(ウォルタ>>続きを読む

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.5

子供は可愛い。その反面優しくない言動を振る舞う。
住まいが流転する9歳の少女ベニーは怒りのコントロールができず周りとのトラブルが絶えない。大人たちのベニーに対する愛情や倫理観を礎にした救済は、喜びや感
>>続きを読む

プーサン(1953年製作の映画)

3.0

おっとりした予備校教師の野呂は度重なる不運に見舞われても生き抜こうとする。理念や願望と反する現実にも耐える。メーデーに参加するのは害悪だと職場が仕打ちする掟ならば、いずれこの社会は没落するのだろう。理>>続きを読む

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

4.5

心地良いリズムを礎にした編集とローアングルや引きのショットを効果的に映し出す撮影は加藤泰の技量の見せ所であり、強引な物語展開が逆に主人公・辰五郎と喜美奴の気っ風の良さに通底していく。また西川組の親分の>>続きを読む

ああ爆弾(1964年製作の映画)

4.0

リズム良く進行するサスペンス喜劇。渡世人の孤独と政界へ臨む金銭欲を良い塩梅にミックスすれば、社会の滑稽さが浮き彫りになっていく。労働に勤しむ主人公の息子のあっけらかんとした表情も良い。世間を恨めしく思>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

3.5

もう一度会いたい亡き両親との邂逅、そこに安易なファンタジー要素よりも、当時言えなかった自身の本心を告げる勇気と許しを乞う息子の真摯な心情が丁寧に描かれる。ここに社会の片隅に潜むマイノリティの葛藤もあり>>続きを読む

貴公子(2023年製作の映画)

3.5

謎の人物 “貴公子” の人物造形が良い。スタイリッシュでありながらも変態チックなズレがユーモアを醸している。見せ場も良い塩梅に散りばめていて退屈しないが、物語展開としてあまりに浅薄な各登場人物のマウン>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

人は容易く決断できない、するのが怖い。他者に決断してほしくなる。受け身になってしまう心の弱さ、狡さ、そこにドラマがある。クライマックスのウーバーを待つ2分間、運命の決断を互いに欲するノラとヘソンの所作>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.0

時間軸を錯綜する構成から同期していく編集は見もの。真相がわかるトリックが終盤に用意されるも腑に落ちない箇所があってモヤっとする。鑑みるとノーラン監督はこのくらいの小品が似つかわしく、最新作のような大作>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.0

写真家ナン・ゴールディンは声をあげる。鎮痛剤オキシコンチンを巧妙な手口で販売促進して多大な利益を得るパーデュー社を創設したサックラー家に対して、その薬物乱用による中毒を経験した人や過剰摂取による死亡者>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

あまりにも多すぎる登場人物にも関わらず矢継ぎ早な場面転換やアップの多用、一部を除いて鳴り止まぬBGM、この演出はどうよ、”核実験成功” からの展開はなんとか盛り上がるのだが、前半の構成に退屈してしまう>>続きを読む

ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年製作の映画)

4.8

幸せとは自身が感じるものである。他者がそれをジャッジしていいのか。不遇な家庭環境はその人の自己責任に陥りやすく、容易く人権を軽視してしまう。その判断は正しいのか。弱者となる子供への冷遇は許されない、し>>続きを読む

ザ・シークレットマン(2017年製作の映画)

3.0

政権と警察機関、決して馴れ合いになってはいけないというフェルトFBI副長官の矜持は、大統領の横暴に憤りマスコミへのリークへと向かう。民主主義とは何か、ウォーターゲート事件の捜査を通して権力の腐敗と国民>>続きを読む

パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間(2013年製作の映画)

4.0

ジョン・F・ケネディ暗殺事件を通して周囲の人びとが混乱していく過程が描かれる。医療従事者、シークレットサービス、FBI捜査官、8ミリカメラで事件を撮った服飾店の男、そして容疑者オズワルドの兄と母親、報>>続きを読む

ファーストフード・ネイション(2006年製作の映画)

3.5

ファストフード店の裏側を暴く物語は、食という生活の要が、経営者側の私利私欲に侵食されて劣悪な労働環境が横行する格差社会の一端を垣間見せてくる。その安さ、美味しさ満足する陰で何を犠牲にしているのか、見え>>続きを読む

罪と悪(2024年製作の映画)

2.5

「ミスティック・リバー」を想起させる物語内容はまだしも、肝心の真相を全て説明的台詞によって仕上げてしまう脚本に難がある。この閉鎖的なムラ社会を忌み嫌う少年たちの思惑はどのような将来を目指していくのか、>>続きを読む