悠

Saltburnの悠のレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.8
クソ遅の新年一本目。オックスフォード大に入学したチー牛が貴族のイケイケ男子とひょんなことから知り合い、彼の豪邸で一夏を過ごすことになるという作品。なにやらボーイズラブなかほりのするあらすじですが、チー牛=バリー・コーガンという事でただの甘酸っぱいBLではないことは明らか。現役のクリーピー系俳優の中でも生理的嫌悪感部門で突出している彼ですが、キショキショ指数100点満点の、まさに彼のために作られたかのような作品でした。
全体的にサイコスリラー色が強めながらブラックコメディ要素もあり、この手の作品につきものの上流階級の俗っぽさを皮肉るシーンではまさかの家族団欒で『スーパーバッド 童貞ウォーズ』鑑賞会をしていたりと結構クスクスできます。このあたりの階級社会の虚飾に対しての皮肉は物語全体を通してこの作品のテーマとしてしっかりと描写されていて、『召使』『テオレマ』『太陽がいっぱい』等の名作を踏襲した上で監督自身の解釈も上手く組み込まれていて、オリジナリティのある非常に巧い作りになっていて感激しました。過去作を観て勝手にフェミ・ジェンダー系の監督だと思っていましたが、表現の幅の広さに驚かされました。
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